成田製靴のシャークレザー(サメ革)は水揚げから鞣し、染色まで一元管理されて完成します。
気仙沼の漁業組合さんに力添えいただき、状態の良いヨシキリザメを確保し、専属のエキゾチックレザー専門の染色工房へ鮮度の高い状態で輸送されます。
そこで、伝統的な手法で丁寧に一枚一枚、そしてその時の気候や温度などを考慮し、微調整を繰り返しながら完成する。
それが成田製靴の成田シャークとなります。

今回、その成田シャークが出来上がるまでの工程をご紹介いたします。

1. 水揚げ

気仙沼港に水揚げされたヨシキリザメを加工場にもっていき、身は高級かまぼこの原材料に、残った皮を成田シャークとして加工していきます。

ヨシキリザメの水揚げ

ヨシキリザメの水揚げ

ヨシキリザメの加工

ヨシキリザメの加工

2. 鞣し準備

鞣し準備として以下の処理を施します。

  • 【水滴】・・・十分な水分を付与
  • 【ソーピング】・・・血液・油脂分・塩分を除去
  • 【石灰処理】・・・動物繊維の柔軟化
  • 【脱灰】・・・石灰分の除去

3. 鞣し

鞣し工程はシャークレザーの質感が決まる大切な工程で、多くの手順を踏みます。

  • 【ピックル(侵酸)】・・・鞣し剤浸透のための皮の酸性化を行います。
  • 【脱鱗処理】・・・強酸性処理により鱗の除去を行います。
脱鱗処理

脱鱗処理

脱鱗処理

脱鱗処理

  • 【中和処理】
  • 【漂白処理】・・・完成時の色味により地模様を除去したりもします。
  • 【植物タンニン鞣し】
伝統的な木製ドラムを使用し鞣していきます。

伝統的な木製ドラムを使用し鞣していきます。

鞣し上がったシャークレザー

鞣し上がったシャークレザー

  • 【シェービング】・・・用途別に厚みを調整します。
シャークレザーのシェービングの様子

シャークレザーのシェービングの様子

  • 【再浸水】
  • 【再漂白】・・・完成色によってはこのタイミングで再度漂白を行います。
  • 【加脂】
加脂

このように脂質をまんべんなく吹き付けていきます。

  • 【乾燥(ぶらさげ)】・・・植物タンニン及び加脂剤の固着を行います。
ぶら下げ乾燥の風景

ぶら下げ乾燥の風景

このような多くの工程を経てようやくクラスト革が完成します。

「クラスト革」とは染色、加脂した革を水絞り、伸ばしを行い、吊り下げ乾燥した製革工程中にある革を指します。

4. 染色

クラスト革が完成し、ここからようやく染色の工程に入ります。

  • 【水戻し】
  • 【再鞣し】・・・用途に応じて再度鞣し工程を行います。
  • 【中和処理】
  • 【染色】
染色機

染色機

染色機

染色機

  • 【再加脂】・・・用途に応じて再度加脂を行い、柔らかさを付与します。

5. 仕上げ

ここまでの多くの工程を経て成田シャークは最終仕上げ工程に入ります。

  • 【板張り・板張り乾燥】・・・シャークレザーを一枚一枚板に貼り付け、乾燥させます。
板張り

乾燥時に収縮しないよう一枚一枚板張りを行います。

板張り乾燥の風景

板張り乾燥の風景

  • 【味入れ】・・・微妙な色味の調整を行います。
  • 【仕上げ】・・・ゴミやほつれの除去などの最終的な仕上げを行います。

6. 完成

このような多くの工程を経て、成田シャークが完成しました。

成田シャーク

成田シャークの完成

大変多くの工程ではありますが、何一つ省略できる工程はありません。
長年シャークレザーの染め上げに携わってきたタンナーの技術、完成が集約したものが『成田シャーク』となります。

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